薬膳を学ぼう!貧血の原因と摂りたい食材
貧血とは
貧血とは、血液中の赤血球の中にある、酸素を運ぶ役割のヘモグロビンの濃度が低くなった状態を指します。立ちくらみ、息切れ、めまい、ふらつき、頭痛、胸の痛みなどの症状が起こります。
(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターより
と定義されています。恥ずかしながら、私も昨日子供と外で遊んでいるとき、立ちくらみをしたので「貧血だ!ナツメを食べよう」と思い立ちました。早速家に帰ってナツメをもぐもぐ。薬と違って即効性はもちろんないので、半月続けてみようかと思います。
そう!ここでなぜナツメを食べようと私がすぐ思ったのかということができるようになったのも、薬膳のおかげ。サプリメントに頼らず生活できるようになったのも薬膳のおかげなのです!なので皆さんも貧血に限らず、体調が崩れたら、○○を摂取しようという風に考えてほしいのです。
薬膳と貧血
貧血は薬膳では、「血虚」「虚労」などの分類に属します。顔色が悪い・爪や唇の色が薄い・めまい・動悸・不眠・手足の麻痺などが主な症状です。体の栄養分である「血」が不足している状態です。
貧血の原因としては、長期の慢性的な出血の他に、血を生み出す脾の機能の低下が考えられます。気血生化の源である脾は飲食の不摂生や過度の疲労などによって、脾の働きが弱り、気血がうまく作れず貧血になることや、血を貯蔵している肝の働きが弱くなり、血を体に送れなくなることもあります。また肝の働きが弱くなると腎にも影響を与え、めまいや耳鳴りなどといった症状も起こります。一概にこれが原因とは言い難いのですが、症状をご覧になった上で、摂取する食材を選んでみてくださいね。
脾と貧血
脾が弱り、気が不足すると・・・
- 倦怠感
- 疲労感
- 食欲不振
- 大便がゆるむ
- 話すのがめんどくさく感じる
- 呼吸が浅い
上記のような症状が現れます。
また脾が弱り血が不足すると・・・
- めまい
- 顔色が白い
- 唇や舌が白い
- 爪が白い、爪が割れやすい
上記のような症状が出ます。
貧血の人は血が不足しているのですが、同時に気も失っているのでこれらの症状が現れます。
また脾は気を上昇させ、清いものを上へ運ぶ働きをしています(脾主昇清)。脾は飲食物を消化して得られた「水穀の精微(エネルギーとか栄養に置き換えられます)」を上部に送ります。ここでは清いものとは水穀の精微のことです。上部といっても色々ありますが、まずは頭や顔を指します。水穀の精微が脳や様々な器官に送られると、意識ははっきりし、器官も正常に働くと考えます。そしてもう一つの上部とは心や肺です。水穀の精微は脾によって心や肺へ送られ、心や肺の働きによって気や血に変わり、全身へと供給されます。
脾は感情の中では「思い・考える」と深く関わっています。「思い・考える」ということは人が毎日やっていることです。つまりそれが正常範囲内であれば、脾を傷つけることはなく何も問題はありません。中医学が問題にするのは過度の考えや思うということ。こうした不正常な思いは脾の働きに影響するのです。思いすぎや考えすぎなどといった状態が続くと、気の流れが悪くなったり、脾の運行を受け持つ働きや気を上昇させる働きが鈍くなってしまうのです。
おすすめの食材
なつめ、ほうれん草、人参、豚肉、ラム肉など
肝と腎と貧血
脾の他にも貧血と深く関わっている臓腑があります。それが肝と腎です。詳しく説明してありますので、ぜひ御覧ください!!
まず肝とは?
中医学では肝は「活発」「動きが急で激しい」などの特徴があると定義しています。昔の人は肝を将軍のような臓と呼ぶようになったとか。
肝の働き
疏泄を受け持つ「肝主疏泄」
肝の働きと言ったらまずこれ。気の流れ・動きを通して、体内の様々な臓腑や器官、また精神状態などに影響を与えています。「疏泄」とは簡単に言えば、「通りをよくする」「上昇する」「下降する」「発散する」などの意味を合わせた言葉とも言えます。
①気の流れ・血の流れへの影響
上記でも触れましたが、肝の気は常に動き、「通りをよくし」「上昇し」「発散し」「下降し」ています。こうした肝の疏泄は、体の気の流れに大きな影響を与えています。
臓腑、経絡、器官などきちんと働くためには気の運動が正常でなくてはなりません。気の運動が正常であるためには肝の疏泄が正常でなくてはならないのです。
疏泄の働きに問題が起こると、それは気の流れに悪い影響を与えます。そして疏泄の異常には「不足」と「過剰」という2つの現れ方があります。「不足」とは気がうまく通らないということ。逆に「過剰」の場合は気が発散しすぎてしまいます。
今まで気の流れについてお話しましたが、貧血とどう関係あるの?と思いますよね?中医学は「気が血を流す」と考えているので、気の流れが悪くなると血の流れも悪くなるのです。
気の滞りが血の滞りを生むと・・・
- 胸部・わきなどが痛む
- 月経異常(周期の異常、生理痛、無月経など)
疏泄の働きが強まり気血が上昇してしまうと・・・
- 吐血、鼻血
- 目が充血
- 顔が赤くなるなど
ここでは触れませんが、もちろん津液の働きにも肝の気は携わっています。今回は貧血ということなので、気血だけみましょう!!
②血の貯蔵や血の流れの調節を受け持つ(肝蔵血)
肝の働きのもう一つは血の貯蔵。さらに血の貯蔵することを通して血流を調節するという意味も含まれています。
1⃣血を貯蔵するとは
陰陽学説(ざっと陰と陽のバランスをうたっている中医学理論のこと)で人間が健康であるためには、陰陽のバランスが取れていなくてはなりません。そして、臓器も同じで、肝が健康であるためには、肝の陰陽のバランスが取れていなくてはなりません。では、肝はどうやって陰陽のバランスを取っているのでしょうか?
まず、肝が貯蔵している血は陰です。そして肝の働き(通りを良くし、活発に動くなど)は陽です。そして中医学には陰である(肝)血には、陽である(肝)気を抑える働きがあると考えています。つまり肝では、主に「(肝)血が(肝)気を抑える」という関係を通して、陰陽のバランスが取られているのです。肝の気はすごく活発なので、抑え役(血)が絶対に必要っていうことです。
そこで抑え役の血が不足すると陽の気が強まってしまうので、様々な出血症状として現れます。以下に症状をまとめましたので参考にしてください。
肝が貯蔵している血が不足し、様々なところに必要な血を送れないと・・
- 目が乾燥する
- 夜盲症
- 筋肉が痙攣する
- 四肢の麻痺
- 月経の血の量が減るなど
- 貧血など・・・
おすすめの食材
レバー、クコの実、鶏肉など
腎と貧血
腎の働き
腎は精を貯蔵し生殖、生命のプロセス、髄を生み骨や脳の元になったりと、とても重要な働きをしています。私たちは男女の精として、新しい生命を誕生させる元となっているのが、腎なのです。
精血同源
肝と腎はとっても深い関係があります。なぜかというと、肝は血を貯蔵し、腎は貯蔵する働きがあります。(肝蔵血/腎蔵精)。そして精と血には互いが互いを生み出す関係がありました。つまり、「肝が生み出す血」と「腎が生み出す精」には互いが互いを生み出す関係があるということです。こうした肝血と腎精の関係を「精血同源」というのです。
腎陰と貧血
腎は身体にとってとても重要な臓腑です。五臓六腑の中で一番大切です。中医学では腎の陰陽は「体全体の陰陽の元」であると考えています。つまり腎陰は全身の陰の元であり、腎陽は全身の陽の元であるということです。そこで腎陰は「元陰・真陰」、腎陽は「元陽・真陽」と呼ばれています。
腎陰が不足すると・・・
- めまい
- 耳鳴り
などの症状が現れます。
腎陰が潤っていないと肝の働きは活発なので抑えることはできません、腎陰が不足し、肝が腎を攻撃してしまい、貧血の症状が現れ悪化します。なので、不眠や耳鳴り、月経困難、おりもの異常などの症状がある場合は貧血予備軍として考えていたほうがいいかと思います。この方は腎陰にいいものを積極的に摂取しましょう!!!
おすすめの食材
にら、くるみ、黒ごま、うなぎ、ラム肉など

ご予約・お申し込み
興味をお持ちいただきありがとうございます。La Santeでは一人ひとりとの対話を通じて、体質把握から、不調の根本原因、改善策をカウンセリングしていきます。皆様にお会いできることを楽しみにしています。