薬膳を学ぼう!!気ってなあに??part2
この記事は2023年2月に書いた「薬膳を学ぼう!!気ってなあに??part1」の続きになります。もしpart1をご覧になっていない方は、こちらも読んでいただければ嬉しいです♡
気の運動
気は絶えず動いています。それはもちろん、人間の気も同じです。具体的には「昇ったり、降りたり、出たり、入ったり」していると中医学で考えました。これを気の「昇・降・出・入」といいます。昇降は「上下間の動き」で、出入は「内外間の動き」のことをさします。
また、気の運動のことを中医学では「気機」と呼びます。つまり「気機」の基本的な形式が、昇降出入だということなのです。このように人間の動きはたえず昇降出入を続けることで、「上下間の動き」「内外間の動き」のバランスを取っています。私達、人間が生きている限り、この運動は止まることは決してありません。
気の動きは、具体的には臓腑を中心とした様々な生理活動として現れます。そして、人全体としては昇降出入のバランスが取れているのです。またこのバランスは決まったものではなく、変化しているバランスです。例えば、夏の暑いので、汗をたくさんかきます。これは出入の「出」が強まっている状態をさします。反対に冬は寒いので、気は外へ出さず、体内にしまいこまれます。これは「入」が強まっている状態なのです。
気のバランスが崩れた場合
臓腑の機能が低下する、風邪を引きやすい、むくみ、汗が出ないor汗が止まらない、疲れやすいなど気虚の症状が現れやすくなります。上記の気の運動でもお話したように、気は上下内外に自由に巡っているのが健康な状態です。気の巡りが悪くなると、気滞、気逆、気陥、気脱などの状態になります。
気虚
原因
気が不足して起こります
症状
パワーが不足し疲れやすく、息切れがします。気力がなく、倦怠感もあります。また顔色が悪く、声に力がない、食欲不振、消化不良、便がゆるい、尿の色が薄いなど。また疲れると症状が悪化し、身体を守る衛気(えき)作用がうまく働くなり、風邪にかかりやすくなります。
気陥
原因
主に気虚が進行して起こります
症状
内臓や組織を定位置に持ち上げておく力がなくなり、気が下がってしまうことです。おもに、胃下垂、子宮下垂、ヘルニアなどがみられます。特に脾胃の気陥の場合は、倦怠感や慢性の下痢も伴います。
気滞
原因
気の巡りがスムーズにいかず、ある部分に停滞が生じて起こります。
症状
主にストレスや陽気不足、外邪などにより起こり、腫れたりつかえたりする痛みが固定せず移動します
気逆
原因
気の昇降出入運動が正常でなくなることで起こります。
症状
降りるべき「気」が上向きに逆流します。よく肺、胃、肝で気の逆流がみられます。肺で起こることを「肺気上逆」といい、咳や喘息がみられます。胃で起こる「胃気上逆」では気分が悪くなったり、嘔吐、ゲップ、しゃっくりがみられます。肝で起こる「肝気上逆」では、頭痛、めまい、悪化すると意識障害などが起こる場合があります。肝気上逆は、おもにストレスによる気鬱によって引き起こされます。「肝火」という体内の熱によって引き起こされる場合もあります。
気の分類とそれぞれの働き
人間にとって、生命や健康を維持するための気はすべて「正気」です。つまり大きく言えば、人間の気はすべて正気となります。ただしそれでは大雑把すぎるので、以下を参照にしてください。
①臓器の気
これは臓腑全体としては「五臓六腑の気」「五臓の気」などの呼び方があります。またここの臓腑の気は、それぞれ「肝気」「心気」「胃気」「胆気」などと呼ばれています。これらは、臓腑全体の働きや、ここの臓腑の働きを指す言葉です。
②経絡の気
経絡の気は「経気」や「真気」と呼ばれています。経気とは経絡の働きをいいます。
③その他
臓腑や経絡以外にも、部位によって分類された気はたくさんあります。例えば以下のようなものがあります。
上気・中気・下気・頭気・胸気・腹気など
気の種類
様々なところでお話したかもしれませんが、「気」は、私達の身体の必要なエネルギーです。目には見えませんが、私達の身体を温めたり、血を全身に循環させる働きをもっています。気は経絡を通って全身のあらゆるところに行き渡っています。気の巡りがスムーズであれば、身体も心ものびのびと、心地よくいられるということです。
気には「元気」「宗気」「営気」「衛気」などの種類があり、その働きも少しずつ異なります。
元気
両親からもらった先天の精に、栄養物質が作られます。気の気化作用によって腎の精気から生まれます。腎の精気の強さは「先天の精「と「後天の精」が合わさったものなので、元気が十分であるかどうかは、「生まれつきのもの(先天の精)」と「毎日きちんと食べて消化・吸収しているかどうか(後天の精)」という2つの要素に影響されます。
宗気
自然界から吸い込んだきれいな気に栄養物質が結びついてつくられ、声に出した言葉をはっきりとさせる働きがあります。
正常な「発声・声色・呼吸」は宗気によって支えられていると考えられています。また正常な「気血の運行」「四肢の温度」「四肢の運動」「視覚・聴覚」「心拍」などは、宗気によって支えられていると考えられています。突然「四肢」や「聴覚・視覚」などの言葉が出てきましたが、気血が隅々まで行き渡れば、手足も、耳や目も正常に動くということなのです。
営気
血液中を流れている気で、栄養が豊富です、全身に栄養と潤いを与えています。
脾胃が飲食物を消化・吸収して得た栄養の中から作られています。そして血液を作り出し、栄養分となり臓腑・経絡・器官・四肢など、体中に届けられます。
衛気
邪気が身体の表面から入らないように全身に行き渡っています。身体を温めたり、汗をコントロールしたりして体温調節をしています。衛気が充実していれば、抵抗力もあって、風邪をひきにくくします。
脾胃が飲食物を消化・吸収して得た栄養の中の特にかっぱるな性質をもつ部分から作られます。体の表面部を覆うバリアーとして、外邪の侵入を防ぎます。体の表面や内部を温めます。体の表面に必要な水分を運びます。毛穴や汗腺などの開閉を調節することで発汗をコントロールし、体温を一定に保ちます。
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