秋は『肺』の養生をしましょう!Part2
前回の「秋は『肺』の養生をしましょう!Part1」の続きになります。もしよかったらPart1も見てね♡
宣発と粛降(宣降)
前回のブログに「宣発」と「粛降」をわけてお話しましたが、この2つは共同でたくさんの仕事をしています。そのため中医学では2つを合わせて「宣降(せんこう)」とも呼びます。
肺の宣降とは、つまり呼吸によって生み出される気の動きのことです。そこで宣降には、まず「気を運行させる」という働きがあります。運行させているのは主に気(宗気・営気・衛気)になります。
宗気・・・肺の宣発(吐く動作)によって上昇し、粛降(吸う動作)によって下行する
営気・・・肺経にはじまり、十二正経をめぐって肺経に戻る営気の流れは、肺の宣降りに支えられている
衛気・・・肺の宣発によって体の表面へ送られ、粛降によって胸や腹の内部に分散する
宣降がうまくできないと以下のような症状がでます。
- 胸部の膨満感
- 呼吸がスムーズにできない
- 胸部の閉塞感など
ここからが面白い!中医学独特の考え~五行×肺とつながるもの~
ここでは、中医学ならではの五行学説と肺が関係しているお話です。五行学説とはざっくりいうと、世界を5つに分けるという考えのこと。例えば、季節「春」「夏」「長夏(=梅雨)」「秋」「冬」のようにすべてを5つに分類したということです。
今回は①感情②体液③体の3つをお話させていただきます。この3つのことを覚えておくだけで、秋だけの養生にとどまらず、ちょっとした体の変化にも対応できると思います。
3つとも黄帝内経素問という今から2,000年前から言われていることです。読むとなるほど〜となるようなものも多いです。是非、参考にしてみてくださいな。
①感情編
肺は「憂い」「悲しみ」と深い関係を持つ「肺在志為憂(悲)」
黄帝内経素問
感情の中で、肺に対するのは「憂い」と「悲しみ」です。2つのありますが、体に与える影響はどちらも変わりありません。憂いには「心配する」ほか、「気が塞ぐ」「つらい」などの意味もあるので、悲しみとイコールになりますね。
そして「憂い」や「悲しみ」の感情は「気」をたくさん消耗すると考えられています。肺は「気」を受け持つ臓腑なので、気の力が弱るということは、肺の力も弱るということです。「憂いすぎ」「悲しすぎ」はその人の気をたくさん消耗し、肺の働きを悪くさせます。また、肺が弱っているときには、気が塞いだり、悲しくなったりしやすぐなることも中医学では考えられています。
②体液編(独特!笑)
肺は鼻水と関係が深い「肺在液為涕」
黄帝内経素問
体液の中で、肺に対応するのは「涕(鼻水)」です。鼻水といってもここでは「鼻の粘液」と「痰」のことです。さて、この鼻の粘液と痰はどちらも肺との関わりが深いです。まず、「鼻の粘膜」では、外の邪気が肺に侵入するとき、鼻は重要な入り口・通り道になります。このように肺と鼻は関係が深いので、肺の状態は、鼻にも現れると考えられてきました。鼻には「臭いを感じる」働きがあり、肺に問題があると、鼻の呼吸や臭嗅覚に影響を与えると考えられました。
肺と鼻の間に「喉」がありますね。その喉の大きな働きとしては、「声を出すこと」です。声が正常に出るためには、肺の呼吸に問題がなく、気が正常に喉を通らなくてはなりません。そこで中医学では「肺は声を受け持つ」とも考えています。
そして肺と痰の関係は、肺の「水の流れを支える(通調水道)」の働きによるものです。肺が丈夫の水をきちんと下へ送れば、水が上部へと滞ることはありません。しかし、水が滞ってしまうと「痰」の原因になるのです。
つまり肺に問題が起こると、鼻の粘液や痰に反映されるということなのです。
③体編
肺は皮毛と関係が深い「肺主皮毛」
黄帝内経素問
体の中で肺と深い関係を持っているのは「皮毛」です。皮膚と毛という感じで捉えてください。
肺は宣発の働きを通して、エネルギーや栄養を体の表面に行き渡らせています。皮毛がいつも温まり潤っているのは、このエネルギーや栄養をもらっているからなのです。また(衛)気は体の表面を覆い、バリアーとして外邪の侵入を防いでくれます。
また皮毛は肺と一緒にお仕事をしているとも言えます。それは呼吸です。呼吸は肺だけがしている仕事ではありません。(衛)気の働きの元で、皮膚もまた呼吸をしています。呼吸は宣発・粛降という気の流れを生み出しますが、宣発という流れは、皮膚の呼吸がなければ完成しないのです。つまり、呼吸は肺と皮膚の共同作業であり、その中で皮膚は、特に宣発と深く関係しているということです。皮膚がうまく呼吸できなくなると、肺の宣発が滞り、肺の働きに影響します。
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