心とは?薬膳から見る「心」についてご説明します!
「心」は五臓の中のリーダー格です。人間が命を維持するのに最も基本となる部分を担当しているため、「君主の官」とも言われています。(君主の位置にある蔵という意味)
心は血を全身に行き渡らせたり、精神活動を管理する働きをします。なお、血脈とは気血の通り道のことを言います。
心の働きとは??
心には「血や脈を受け持つ働き」と「神を受け持つ働き」があります。
①血や脈を受け持つ(心主血脈)
中医学は、血が正常に流れている状態には、3つの要素が関係していると考えています。それは 血・脈・気の3つです。
まず、血は脈の中を流れます。中医学では「体の中のすべての液体(血、尿、汗など)は気のちからを受けて、初めて流れることができる」と考えています。つまり血が正常に流れるためには、「血」と、血の通り道である「脈」だけでなく、さらに「気」も必要なのです。3つのうち1つでも問題が発生してしまうと、血は正常に流れることができません。例えば、血が滞ってしまう「瘀血」という症状や血が不足してしまう「血虚」という症状が現れてしまいます。
そしてこの3つの中心は「気」(心気)であると中医学では考えます。それは心気によってちゃんと動いていることが、正常な血の流れの前提だからです。血が心から全身に送られるのも、全身の血が心に戻ってくるのも、どちらも心気の働きだと考えています。
心気はみなぎり、血も豊富にあり、脈にも問題がなく正常な状態だと、
・顔色の血色がよく、艷やかである
・脈も正常
逆に心気が正常に稼働できなかった場合、以下のような症状が起きます。
・脈が弱くなる
・動悸
・顔色が悪くなり、艶がない
・脈が細く弱くなる
・チアノーゼ
・不整脈
・心臓部分の痛みや閉塞感など
②神を受け持つ(心主神志)
中医学の「神」という言葉には、様々な意味があります。意識・感情・思考などの精神的な活動を指す場合や人間が生きていることが外に現れた様々な現象のこと(生きている体そのもの、顔色、表情、目の輝き、言葉のやり取り、手足の動きなど)を指す場合があります。
例えば、本屋を横切って、「この本すてき」って思ったとき、その感じた心だけが神なのではありません。「本を見る」というところから、すでに心が受け持っている神の働きが関係しています。
心が受け持つ神とは、単なる思いではなく、思いが生み出した行動や言動など含んでいるといえます。
色々ごちゃごちゃ難しいことを言って頭の中が「?」という感じがしたと思うので、以下の表を参考にしていただけたらと思います!でも、こんなのが、中医学の真骨頂で、面白い部分なのかもしれませんね😅
内部の状態 | 外部の状態 | |
正常な状態 | 心は正常に神を受け持つ | ・意識がはっきり ・精神状態も◎ ・きちんと考えられる ・外からの働きかけに、すばやく反応できるなど |
病んでいる状態 | 心に問題があり、正常に神を受け持てない | ・睡眠異常 ・気持ちが落ち着かない ・発狂 ・反応が鈍い ・健忘 ・意識が朦朧とするなど |
心×小腸
小腸は、胃などですでに消化・吸収されたものを更に必要なものと不要なものとに区別する場所です。心の機能が異常をきたすと、不眠・口内炎・動悸などを生じます。そしてこの異常が小腸にまで及ぶと、必要なものと不要なものを区別する機能がうまく働かなくなり、尿の色が米の研ぎ汁のように濁った色になったりします。
心×舌
五行の穴の中で一番関わりの深いのは舌です。心は経脈を通して舌と繋がっています。また舌は、顔と同じく多くの脈がある、血がたくさん流れている場所でもあります。そこで心や血脈の状態は、舌にも現れると考えられました。
この関係は以下の表の通りです。
内臓の状態 | 現象 | |
正常な状態 | 心の働きは正常 | ・舌の色艶がよい ・柔軟で動きが良い ・味を正確に感じる ・普通に言葉を発せられる |
病んでいる状態 | 心の働きに異常 | ・舌が白い ・舌が膨らんで大きくなる ・舌が赤くなる ・舌が痩せる ・舌の先端部分が赤くなる ・舌が紫になる ・舌の表面に斑点ができる ・舌が硬直する ・言葉がうまく話せない |
上記で述べた五行の穴で関わりが深いのは「舌」という文ですが、みなさんも「?」と思ったと思いますが、実は舌は「穴」ではありませんよね?笑 そこ心の穴として「耳」を加えることもできます。この考えは元々「黄帝内経」に載っていたのですが、今はあまり主流ではありません。「耳」と関係が深いのは「腎」になっています。
心×汗
五行の液と心と関わりが深いのは「汗」です。
中医学は汗を「津液が陽気の作用を受け、汗腺から外に出たもの」と説明します。つまり汗の原料は津液という水分(陰液)ですが、汗を出させるのは陽気の作用です。その陽気こそが心の陽気だと考えます。
汗は暑いときに出ますが、中医学はこれを「汗と一緒に(陽)気も外に出すことで、熱を追い出している」と考えています。そして適度に熱を出すと、陽気は体の表面を閉じさせ、汗を止めるのです。
つまり、陽気は発汗のすべてのプロセスを管理しています。
ちょっと、難しいな話をしますね。心の働きで、ポイントになるのが津液は血の原料ということ。そして、津液は、ここでは汗の原料とされています。つまり津液は「血の原料」でも「汗の原料」でもあるのです。中医学ではこの言葉を「血汗同源(血と汗は元は同じものでできている)」という言葉で表しています。
心×顔
五臓の気の状態がどこに現れるかという五華。心の場合は、「顔」に該当します。顔という部分は、多くの脈があり、血が沢山流れています。そして脈や血を受け持っているのは、まさに心なのです。そこで中医学は「心」や「血」や「脈」の状態は顔にも現れると考えました。
内臓の状態 | 現象 | |
正常な状態 | 心の陽気は旺盛で、脈は正常に拍動し、血はスムーズに流れる | ・顔の色艶が良い |
病んでいる状態 | ・心の陽気が不足 ・心の血が不足 ・脈の通りが悪い | ・顔に色艶がない ・顔色が白い ・顔色が青紫になる |
心×脈
上記の「心×顔」でも脈がたくさん出てきたのですが、脈とも関係が深いのが「心」なのです。心と脈の関係は全身の脈は、心と繋がっているということ、そして心の陽気が、脈を動かし、血をスムーズに流しているということです。心の一番重要な働きと言えます。一番最初に書いた「心主血脈」を御覧くださいまし。
心×喜
感情の中で、心と深い関係なのが「喜び」です。
喜びには、心の働きをよくする作用があります。ただし「喜び過ぎ」は心が受け持っている神を散らし、心も体も不安定な状態にします。例えば、私は体育会系なので、大事な試合の決勝戦で勝ったとします。すごく嬉しくて嬉しくて、夜は眠れませんでした。苦笑
あまりにも喜びが大きすぎると、心は普段の落ち着きがなくなってしまいます。
大好きなアニメを見すぎて、興奮しすぎて眠れなくなってしまったり・・・誰しもが経験したことはあると思います!
ところで神とは、さまざまな感情や精神を含む言葉です。そこで中医学では、どんな勘定であっても度が過ぎれば、みな心を傷つけるとも考えました。その上で、心と「喜び」は特に関係が深いということです。
内臓の状態 | 現象 | |
正常な状態 | 適度な喜びは心の働きをよくする | 異常なし |
病んでいる状態 | 過度な喜びによって、心の働きが正常でなくなる | ・笑いが止まらない ・挙動がおかしい ・動悸 ・不眠など |
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