妊活にいい食事とは?自分に合った食材を選んで体質改善をしよう
不妊症とは
不妊症とはパートナーが健康でもあるのに関わらず、2年以上にわたって妊娠できないものを「元発性不妊症」といい、「山海経」では「無子」、「千金要方」では「全不産」といいます。また過去に妊娠歴、流産歴があり、避妊していないのに2年以上妊娠しないものを「続発性不妊症」といい、「千金要方」では「断緒」といいます。このように不妊には2つのタイプがありますが、検査や治療の内容はいずれも変わりません。
日本では「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、一定期間、性生活を行っているのにも関わらず、妊娠しない場合を不妊という」と定義しています。その一定期間については日本では2年とされていますが、アメリカは1年です。「不妊」という病気があるわけではなく、2年以上妊娠しない状態を「不妊」といいます。
妊娠・出産が可能な年齢は、一般的に初潮がみられる10代前半から約50歳の絶経まで。初潮からの数年間は、妊娠出産の準備が不十分なため、妊娠率は低く、出産能力が高くなる10代後半から35歳くらいまで妊娠しやすい年齢といえます。
35歳以降は生殖器官の能力低下により、妊娠が難しくなり、50歳以上での妊娠出産はほとんどありません。
高齢になると妊娠しづらくなる一番の原因は「卵子の質の低下」です。男性は精子が日々新しく作り出されるのに対して、女性の場合、胎児の頃にすでに女性が一生の間に排卵する卵子が作られています。なので、20歳で排卵した卵子は卵巣の中で20年、出番を待っていた卵子、40歳で排卵した卵子は40年間その日を待っていた卵子ということです。
月経のメカニズム
明の時代に記された「本草綱目」に
「陰陽学説から言うと、自然界の月の満ち欠けや潮の干満のように、陽性に属する男性と違い女性は陰に属し、血を多く消耗するため多く必要で、毎月月経の出血がある」
本草綱目より
とあります。
月経は女性の象徴ともいえ、脳の正常な働き、卵巣・乳房・子宮などの生殖器官の発育など、すべて順調な月経と関わってます。
【西洋医学の月経メカニズム】
〈月経期〉
子宮内膜の血液、粘液、最近などが排出される
(卵巣)受精卵が着床しない場合、黄体は2週間でしぼんで白体となり、黄体ホルモンを分泌しなくなる
(子宮)子宮内膜の血管に変化が起き、血液の供給が止まり、内膜の一部が剥がれ落ち月経となる
〈低温期・経後期〉
(脳)視床下部から性腺刺激ホルモンが分泌され、下垂体に卵胞刺激ホルモンの分泌を促す
(卵巣)数個の原始卵胞が発育。卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌
(子宮)卵胞ホルモンの作用で子宮内膜が増殖
〈排卵期・経間期〉
(脳)卵胞ホルモンの分泌がピークになる
(卵巣)下垂体からは、卵胞刺激ホルモンの分泌量が抑えられ、黄体形成ホルモンが分泌される
(子宮)成熟卵胞は、最も成熟した卵胞1つ除き、それ以上成熟しなくなる。黄体ホルモンが成熟卵胞ホルモンを刺激し排卵が起こる。卵巣から飛び出した卵子は卵管に取り込まれ、精子と出会い受精。受精卵が子宮内膜に着床した時点で妊娠が成立する
〈高温期・経前期〉
(卵巣)卵子が飛び出したあとの卵胞は黄体と呼ばれる組織に変化し、黄体ホルモン(プロゲストロン)を放出。
(子宮)受精卵が着床しやすいように内膜がさらに暑くなる
【中医学の月経メカニズムと予防法】
月経には、気血・腎・肝・心・脾・衝脈・任脈・帯脈が関与している
〈月経期〉
子宮内膜の血液、粘液、細菌などが排出される。
子宮内膜が充血してあふれ、陽気の疏泄により子宮口が開き排泄される
経血と一緒に気も排泄されてしまう
《理気活血》気と血の流れを促進させ、体内循環を助ける
〈低温期・経後期〉
経血後の子宮は経血が排出された後で、陰血不足状態。子宮口は閉じ、泄から臓の働きへと変わる
陰精が蓄えられ、精血となり衝脈と任脈が充実されていく
《滋陰養血》血を補い、卵胞ホルモンの分泌を高める
〈排卵期・経間期〉
陰精が充実し、着床の準備期
《温陽活血》腎の働きを助け、卵子の動きを助ける
〈高温期・経前期〉
黄体ホルモンの分泌が促進され、子宮内膜はさらに十分な暑さに増殖される
《温陽》《滋陰》《疏肝理気》身体を温め、黄体ホルモンの分泌を促進させ、子宮内膜をふかふかに柔らかく温かくするのを助ける。気が張ってくるので、気の流れを促す
不妊の原因はなに?
不妊の増加の背景には食生活の変化や社会的要因が・・・
WHOはこの半世紀ほどの間に男性が一回の射精する精子の量が少しずつ減少し、生殖能力が低下していると言っています。このことについて多くの専門家は、大気汚染・海洋汚染などの自然破壊、高度に発達する文明社会の中でのストレス増大などを指摘し、これらが複雑に影響しあった結果ではないかと言われています。
現代のライフスタイルは便利なものになりましたが、一方で運動不足になったり、人間の体力や持久力がどんどん低下していくということに繋がっています。豊かになった食生活の裏では、栄養過多による肥満と、それに伴う生活習慣病の増加が問題になっています。食品添加物や農薬などの影響も心配されます。
西洋医学で考える主な原因
- 排卵に問題がある
・卵巣の発育不全、炎症、創傷
・間脳、下垂体の機能不全
→無排卵(卵巣、下垂体系の異常により卵が育たないか、育ってもはいらんできない)
・無月経などの月経不順
・多のう胞性卵巣症候群
・早期卵巣機能不全
・黄体機能不全
- 卵管に問題がある
受精卵の卵管から子宮への移動過程での障害
卵管の閉鎖、炎症、奇形などの通過障害がある場合は、子宮外妊娠を起こしやすくなります。
- 精子・精液に問題がある
精子の生成不良(精巣の発育不全・炎症・損傷・手術摘出など)により正常な精子の産生が傷害されている場合、精管の閉鎖、炎症、奇形などの原因による射精の障害、精子が子宮内に入る過程での障害、受精の障害などが原因となります。
神経系の異常などによる射精不能が原因の場合もあります。
- 子宮内膜症
子宮内膜症によって卵巣の内部や周囲に病巣ができると、卵の発育が妨げられ排卵が障害されます。子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜炎などがあると、内膜が厚くならないため、受精卵が着床しません。内分泌機能の失調により、子宮内膜が発育不良の場合もあります。帝王切開の不妊は、帝王切開瘢痕症候群が原因のことも多くあります。
- 着床に問題がある
- 子宮頸管に問題がある
精子が子宮内に入るまでの過程での障害
子宮頸管では子宮頚部から粘液が分泌され、精子の輸送経路として働きます。この粘液の産生が質的・量的に傷害されることがあります。
- 精子に対する抗体がある
- 夫婦生活がうまくできていない
- 原因不明不妊
中医学で考える主な原因
腎は生殖を司っており、腎と不妊症には深い関係があります。さらにホルモン・衝脈・子宮の機能失調、また臓腑気血の不和などは胞脈・胞絡機能に影響を及ぼします。臨床では腎虚・肝鬱・痰湿・瘀血などがよくみられます。
まずは自分の体質を知ろう!
腎虚タイプ
先天的に腎気が不足しているために、陽虚となり子宮を温めることができなくなると、子宮が冷え精をおさめて妊娠することが困難になります。また、精血が不足すると、衛任脈が虚するため、胞脈が滋養されなくなって不妊症になります。
腎陽虚不妊とは?
月経周期は遅れることが多い・月経量は少なく、色は淡い・たまに無月経のときもある・腰が重だるく下半身に脱力感ががる・性欲は少ないなど
腎陽虚になる理由
腎陽虚
腎虚のために衛任が滋養されないと血海が充実されないため、結婚して長期間が経過しても妊娠できず、月経が遅れ、量が少なく薄くなり、無月経になります。腰は腎の府であり、腎陽不足により、腰がだるくて下半身に力が入らなくなり、性欲が減少します。腎陽虚のために上では脾陽を温めることができず、下でも膀胱を温化できなくなります。大便は形にならず、尿は透明で量が多くなると中医学では考えています。
腎陰虚不妊とは?
月経周期は早く量が少ない・月経に血の塊は出ない・体が細い・腰がだるく下半身に脱力感がある・動機がして眠れない・せわしない・口がよく乾く・火照るなど
腎陰虚になる理由
陰血虚のため血海に熱がこもるため妊娠しづらく、月経が早まります。精血が満たされず月経量が少なくなり、体が痩せていきます。陰血が不足すると心肝臓が滋養されなくなると、頭はぼんやりとして視界がかすみ、動悸が高ぶり不安感を生じて眠れなくなります。腰は腎の府であり、腎精が不足すると腰がだるくなり、下半身には力が入らなくなります。またいらいらやほてりも伴います。
肝鬱タイプ
肝鬱不妊とは?
月経周期は不安定で、月経中に腹痛がある・月経は順調ではなく、量は少ない・月経時に少量の塊がでることがある・月経前に乳房が貼って痛む・精神状態は仰鬱状態・イライラしやすいなど
肝鬱になる理由
肝気の鬱滞により気血がスムーズでなくなると、月経前に乳房が張り、月経量は少なくなり、血の塊が混ざります。肝鬱のために感情を抑鬱され、鬱が火へと変化すると、イライラしやすくなります。肝の疏泄機能が失調すると月経周期が前後して不安定になります。
痰湿タイプ
痰湿不妊とは?
肥満体型で、月経は遅れがち・無月経のときもある。おりものの量が多く、粘ちっこい・目眩・動悸など
痰湿になる理由
肥満体型の人には痰湿という特徴があります。痰湿が気血の流れを阻害すると、胞脈が塞がれるため受精できにくくなり、月経は遅れ出し、ひどい場合は無月経のときもあります。痰湿が体の中に停滞すると気の昇降作用が失調し、気が上昇できにくくなるため、顔色は白っぽくなり、頭がくらくらし動悸を生じ、胸が苦しくなります。脾胃湿熱となって湿濁が体の中を停滞しはじめるとねばねばのおりものが多くなります。
瘀血タイプ
瘀血不妊とは?
月経周期は遅れる・量が少ない・月経は紫黒色で血の塊が混ざる・月経痛もち・下腹部が痛み拒按
瘀血になる理由
血液が脈中を停滞すると長期間妊娠できなくなり、月経後期では量が少なくなり、また月経痛を生じやすくなります。瘀血が経血と一緒に排泄されると経色は紫黒となり、血の塊が混ざります。血が停滞するため、血が溜まっている場所が酷く痛みます。
妊娠しやすい体を作ろう!
冷え性を治そう
妊娠に必要なホルモンは、脳や卵巣から分泌され、血流に乗って体全体に運ばれます。血流が悪いと、必要な場所に適量が行き届かなくなるため、排卵障害や子宮内膜が熱くならないなどの不妊の原因に繋がる可能性があります。
体を冷えから遠ざけるためには・・・・
- 適度な運動
- 早寝早起き
- 規則正しい食事
- 温かい食事・食材を摂る
- 締め付ける洋服を着ない
- 水分を取りすぎない
体を温める食材・冷やす食材を知ろう!
基本的に夏に旬の素材は体を冷やし、冬が旬の素材は体を温めると言われています。また、色でいうと白・緑・青は体を冷やすと言われ、赤・黒・オレンジなどは温める食材があると言われています。
温める食材
→かぼちゃ・ごぼう・生姜・羊肉・黒砂糖・みそ・シナモン・なつめ・ぶり・鮭・さくらんぼ・龍眼など
冷やす食材
→ナス・きゅうり・とまと・レタス・バナナ・マンゴー・白砂糖など
薬膳はどういうときに使うの?
西洋医学とは違った観点から改善していくのが、薬膳・漢方の治療です。薬膳・漢方ではその人自身のコンディジョンを正常な状態に戻すことで病を治そうというものです。
中医学では、人を「証」というタイプに分けて診断します。証とはその人の体質や体力、抵抗力、症状の出方と捉えてください。本人の症状や体格などの要素から判別し、虚証と実証に分けます。虚証とは痩せ型で疲れやすく胃腸が弱く下痢しがちなタイプ、実証は筋肉質で固太りで血色がよく胃腸が強いタイプです。同じ症状でもその人に合った薬膳、漢方薬を使います。
また、中医学には「気血水」という症状を診断するものさしがあります。気とは目には見えないエネルギーのことで、元気や気力といった感じです。血は全身を巡り栄養を体に行き渡らせる働きがあります。水は血液以外の体液を指し、免疫や代謝と深く関わっています。
私達の体は気血水の3つの要素が体内をうまく巡ることによって健康が維持され、これらは不足したり滞ったり、偏ったりしたときには不調うや病気が現れます。
不妊治療では主に月経トラブルやや冷えを改善する目的が多いようです。不妊の原因で一番多く見られるのが、血の滞りによる瘀血といわれています。これは、運動不足、冷えなどで血液の流れが滞り、子宮や卵巣に栄養分やホルモンが行き渡らなくなる状態のことです。子宮内が瘀血の状態にあると、月経不順、月経痛、不正出血、子宮筋腫、子宮内膜症などの症状を引き起こすと考えられています。、あた、子宮内膜が厚くなりにくく、着床しにくくなるとも言われています。
タイプ別〜おすすめな食材〜
《腎虚不妊におすすめな食材》
牡蠣・黒米・栗・黒ごま・ごぼう・ブロッコリー・プルーン・ぶどう・エビ・豚肉にら・赤ワインなど
《肝鬱不妊におすすめな食材》
玉ねぎ・ピーマン・グレープフルーツ・鮭・牛肉など
《痰湿不妊におすすめな食材》※冷え性の人には気をつけてほしい食材あり(赤字)
玄米・ハトムギ・小豆・黒豆・緑豆・かぼちゃの種・冬瓜・ぶどう・鮭など
《瘀血不妊におすすめな食材》
黒米・黒砂糖・納豆・プルーン・鮭・牛肉・甘酒・にら・セロリ・カカオなど
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