【薬膳コラム】月経痛の原因と対処法。冷えと関係がある!?薬膳ののプロが教える月経痛に効く食材やレシピをご紹介します!
月経痛で悩んでいる人は結構たくさんいます
今も多くの女性が悩んでいる月経痛。月経痛の症状も個人差がとても大きく、会社や学校にいけなくなる人や薬を飲んで対処できる人と様々な程度で私たち女性を苦しめます。厚生労働書によると、月経が来る人の8割もの人が、月経痛に悩ませれているとのこと。今、月経痛に悩んでいる方はもちろん、環境が変わると月経痛に悩まされるという可能性も考えられます。切っても切れない縁なので、他人事として捉えるのではなく、しっかりと知識として把握しておくことはとても重要です。
そもそも正常な月経の定義とは?
西洋医学では、「脳」「卵巣」「子宮」の3つの期間とホルモンが関係してると考えます。子宮内膜の内側の血液、粘液、細菌などが排出されます。
【卵巣】受精卵が着床しない場合、黄体ホルモンは2週間でしぼんで白体となり、黄体ホルモンを分泌しなくなります、
【子宮】子宮内膜の血管に変化が起き、血液の供給がとまり、内膜の一部が剥がれ落ち、経血が来る
一方、中医学では、気血・腎・肝・心・脾・脈が深く関わっていると考えます。子宮内膜の内側の血液、粘液、細菌などが排出されます。子宮内膜が十ひつして溢れ、体の中の気が満ちていることで子宮口が開き排出されます。そして、経血と一緒に気も排出されます。
中医学で考える月経周期
月経の正常な周期を中医学では28日前後と考えており、7日以上短いものを「月経先期」、7日以上長いものを「月経後期」と言います。そして遅くなったり早くなったりするものを「月経前後不定期」、それが3周期以上続く場合は「月経不順」、そして月経が3ヶ月以上中断することを「閉経」と言います。この閉経は今の日本では月経が終わったことをさしますが、中医学では違うので、注意してくださいね。
月経のトラブルは婦人科で最もよくみられる病気です。月経は健康のバロメーターと中医学では考えるので、月経トラブルがある人は、体の不調を抱えています。体内のエネルギー不足、血の不足、五臓の腎の弱さが原因で、冷え・便秘・ストレス・睡眠不足など様々な症状を引き起こしていると考えられます。そこで中医学ではなんで月経周期が乱れているのかという論点に着目します。ここでしっかり考えることで、月経周期を根本から整えることができます。このことを中医学では「証(しょう)」と言います。「証」とは「病名」のことを指し、「証」をしっかりと見極められる人は良い漢方医として扱われます。
また、多くの女性は月経トラブルは軽視しますが、放っておくと不妊症につながると言われており、早めの対策をおすすめします。
月経痛の原因
月経期や月経前後に下腹部が痛み、痛みが腰まで広がり、また激痛のため意識障害を生じ、しかも月経周期に応じて起こるものを「月経痛」と言います。中国の古い書物(=金匱要略:きんきようりゃく)には以下のように記されています。
月経が来て腹が痛むものは働きすぎ、または動きすぎによって気血を損傷したために、体が弱ったことが原因である。
と言っています。また別の書物には
月経期に痛みを生じる者は体のエネルギーが不足している場合が多い
と記されています。
中医学で考える痛みとは「不通則痛(ふつうそくつう)」という考えが一般的です。これは「痛むなら通ることができない」という言葉の意味です。もっと具体的に言うと、通れない部分が痛むという意味。なにか引っかかっており、引っかかっている部分が痛むということを表しています。月経痛の場合は血の巡りが悪くなり、血が停滞しています。そこの部分で不通になり痛みを生じ、月経痛に繋がっていると考えます。
そして血は体の内側のエネルギーによって動くと中医学では考えます。生まれつき虚弱体質の人は体のエネルギーが不足していると考え、血を流すパワーが足りません。気が不足している人も血の巡りが悪いと考えます。
冷えと月経痛
体が冷えると骨盤内の血流が悪化し、経血の排出がうまくできません。なんとか押し出そうと子宮が収縮するため、痛みが発生します。これを冷えが原因で起こる「月経痛」です。冷えで血流の流れが悪くなります。これを中医学では「血瘀(けつお)」体質と言うのですが、血瘀体質の人は刺すような痛みを伴う月経痛を患っています。さらに血瘀体質+冷えの体質の人は女性ホルモンを分泌する力が弱くなり、生理周期を乱し月経不順にもなります。
《体質とは?》
自分でできる「冷えが原因の月経痛」チェック
- 肩や首が凝りやすい
- 月経痛は刺すような痛みを伴う
- 手足や腰が冷えている
- 低体温気味
- 経血時はどろっとした塊が出る
- 温かいものを好む
- 寒い時期は3首(首・手首・足首)を露出していることが多い
- 風邪を引きやすい
- よく下痢をする
- 虚弱体質である
上記の中で3個以上当てはまる人は「冷えが原因の月経痛」の疑いあり。今の体質を改善すべき。
養生のポイント
身なり編
夏でも冬でも体を冷やさないことが一番です。夏場はエアコンのきいた部屋にいることが多くなります。そういう場合は足元は夏でもレッグウォーマーを着用すること、カーディガンも羽織るなど徹底的に体を冷たい空気に触れさせないこと。冬場はもちろん、しっかりと防寒(特に3首を防寒)をし、体を温めること。
生活編
「冬は体が冷えるから体を温めるものを食べなくては!」と考える人は多いです。しかし問題は夏場。体が熱いからと言って冷たいものばかり食べすぎていると、冬に体の冷えが確実に悪化します。「体温より低いものを食べる」ということは「体を冷やす」と同等です。また夏場は湯船に浸からない人が増えています。お風呂はめんどうだしと思うかもしれませんが、しっかりと浸かり、空調機で体を冷やした体をしっかりと温めましょう。
中医学にこんな言葉が・・・
中医学にはおもしろい言葉があります。「冬に悪化する症状は夏のうちに治しましょう」という言葉があります。多くの人が冷えを自覚する季節は冬です。冷え性の人は冬場は本当に辛いです。そんな冷え性を改善する季節が「夏」です。夏の養生の仕方で冬場に悪化する冷えを根本から改善できます。例えば、氷の入った飲料水を飲まないことや、朝食に冷えたヨーグルトやフルーツだけの生活をしていませんか?そんな生活は今すぐにやめましょう。これだけでも、冬に困っていた冷えが治っていきます。逆に夏に悪化する症状は冬場に治すと言う言葉もありますよ。
体を温めるオススメな食材
お肉・お魚
羊肉、鶏肉、海老、鮭、いわし(アンチョビー)など
MIHOのワンポイント
お肉の中で一番体を温めるのが羊肉です。中国の寒い地域では昔から「当帰生姜羊肉湯」というスープを飲まれきました。スープに入っている食材が料理名になっていて、当帰(とうき)、生姜、羊肉の食材全て体を温める食材です。こうやって寒い地域の人たちは養生してきたのですね。
野菜
南瓜、玉ねぎ、ねぎ、紫蘇、にんにく、生姜など
MIHOのワンポイント
夏野菜は体を冷やし、冬野菜は体を温めるという区別の仕方が薬膳にはあります。その中で南瓜は夏野菜にも関わらず、体を温めるというのがポイントです。それとウリ科なので利尿作用にも優れています。
そして冷えが原因で月経痛が起こる人は血の巡りが悪いと中医学では考えます。そういう人は体に必要なエネルギーも滞りになりがち。そこで玉ねぎを一緒に食べることでエネルギーを体全身に巡らせてくれるので、一緒に食べるように心がけましょう。
果物
金柑、桃など
MIHOのワンポイント
フルーツは根本的に体を冷やします。体を冷やすからと言って「絶対に食べない!」と言わないでくださいね。フルーツにはそれぞれ立派な効能があります。薬膳は体のバランスを整え未病を防ぐというのが最終目的になります。体を温めるものばかり食べてしまうと、熱がこもりのぼせてしまうという別の症状に悩まされます。果物も体を温めるものもありますので、なるべく冷えで困っている人は摂取するようにしましょうね。ドライフルーツは太陽に浴びてできている食材なので温める力に変化します。ぜひドライフルーツも召し上がってみてくださいね。
おすすめなレシピ
《鶏肉の煮物》
《牛肉の生姜焼き》
《生姜ねぎおじや》
《しいたけ入りつくね》
《鮭ハラス炊き込みご飯》
《桜エビと松の実のふりかけ》
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